ペンシルハウスは恥ずかしい?後悔した5つの理由と失敗しないための対策

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ハウマガ編集部

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ペンシルハウスとは、狭小地に建つ鉛筆形の3階建て戸建て住宅のことです。
都市部での住宅事情が厳しくなる中、狭い土地を有効活用した「ペンシルハウス」への関心が高まっています。
しかし、実際にペンシルハウスを建てた人の中には「恥ずかしい」「後悔している」という声も少なくありません。
本記事では、ペンシルハウスの基本的な定義から、後悔した5つの理由、そして失敗を避けるための具体的な対策まで、TSKさんいん中央テレビ住宅部門監修の信頼できる情報をもとに詳しく解説します。
ぜひ参考にしてください。
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ペンシルハウスとは?狭小住宅の定義
ペンシルハウスとは、14〜20坪の細長い敷地に建つ狭小住宅のことです。
1階には玄関と浴室・洗面などの水まわりをコンパクトにまとめ、2階を家族が集まるLDK、3階を寝室や書斎といったプライベート空間に振り分ける3層構成が一般的です。
都市部では地価が高騰し広い土地を確保するのが難しい一方で、「戸建てに住みたい」「駅から徒歩圏がいい」という希望は根強くあります。
ペンシルハウスは、「駅近で狭小地でも戸建てに住むことを叶える」という人の理想を実現する、現代的で合理的な住宅スタイルです。
国税庁では狭小住宅を、繁華街地区なら間口4m未満、普通住宅地区なら8m未満の宅地と定義しています。
「後悔」は本当?ペンシルハウスが「最悪」と言われる5つの理由
ネット上の口コミでは「恥ずかしい」「後悔した」「最悪」との声もありました。その主な理由を5つまとめます。
家事動線が悪い間取り
ペンシルハウスでは、縦型構造のため日常生活で頻繁な階段移動が必要です。
たとえば1階で洗った衣類を抱えて3階のバルコニーへ運び、乾いた後は各階の収納へ振り分けるといった往復だけで毎日何度も階段を上がり下りすることになります。
掃除のたびには、重い掃除機を片手で支えながら踏段を慎重に昇降しなければならず、とくに高齢のご家族には大きな負担となるでしょう。
こうした家事動線の悪さは移動時間を無駄に増やし、結果として家事全体の効率を落とします。
これらの足腰にかかる負担と時間を奪われるストレスが重なり、暮らしの質そのものを低下させる要因となります。
引用元:X
収納スペースが不足しやすい
ペンシルハウスは細長い敷地に合わせて階段が占める面積が大きく、クローゼットやパントリーを十分に確保する余裕がありません。
季節ごとにしか使わない暖房器具や扇風機、子どもの成長につれて増える衣類や学用品、趣味の道具、さらには災害時の備蓄品など、置き場所に困る物が次第にリビングや廊下へとあふれ出します。
床には段ボール箱、壁際には積み上がった収納ケースなど視界に常に物が入り、通路も狭まるため、もともと限られた室内がいっそう手狭に感じられるかもしれません。
動きづらさや片づけの手間がストレスとなり、「人を呼ぶのが恥ずかしい…」と感じるほど住まいの快適性を損ねてしまうことも。
ペンシルハウスで生活する場合、所有物は最小限にする覚悟が必要です。
せめて片付けがしやすい家にしたいんだけど、収容少ないし収納家具も置きにくいしでめっちゃ困る。あと数十年は住む予定なので絶対それまでに満足できる家にしてみせる。
引用元:X
健康面に負担がかかる
ペンシルハウスは両隣の外壁が手を伸ばせば届きそうなほど迫る密集地に建つため、窓を設けられる面の少なさがデメリットです。
とくに1階は隣家の影に覆われているため、昼間でも天井照明を点けなければ新聞の文字が読めないといったケースも。
風の通りも悪く湿気がこもりやすいため、結露やカビの発生リスクも高まります。
このような環境は快適性を損なうだけでなく、長く住むほど呼吸器やアレルギーへの影響といった健康リスクを抱え込む恐れがあります。
引用元:X
建築費用が割高になる
ペンシルハウスは一般的な住宅と比較して建築費用が割高になる傾向にあります。狭小住宅でコスト高になる主な原因には、以下のようなものがあります。
・大型重機の搬入が難しく、人力作業が増える
・特殊な小型重機や仮設機材を手配する必要がある
・足場の設置が複雑になる
・3階建て想定の構造補強が必要になる
・隣家への騒音・安全対策に追加費用が発生する
さらに、隣家に配慮して作業時間を朝夕に限定すると工期が延び、そのぶん人件費も上昇します。
結果として、当初の試算した値段より2〜3割程度高くなるケースが少なくありません。
ペンシルハウスを計画する際は建築コストの上振れリスクも考慮しておきましょう。
売却時に買い手がつきにくい
ペンシルハウスは細長い敷地に合わせた独特の縦長構造です。
特殊な間取りと狭小地の特性により、中古住宅市場で売却時に買い手が限られ、資産価値が下がりやすいというデメリットがあります。
国土交通省の住宅の各要素に対する評価(不満率)(全国)によると、ペンシルハウスでデメリットとなりがちな「室内の段差」や「遮音性」などへの不満が上位を占めています。

このように、ペンシルハウスは一般的な住宅と比較して特殊な構造のため、内見希望者の数は一般的な戸建てより伸びにくい傾向があります。
そのため、同じ立地でも売却期間が長引き、最悪の場合「売れない家」になりかねません。
将来的に住み替えや資産運用を考える場合、この流動性の低さも大きなリスクです。
街なか立地を実現!ペンシルハウスのメリット
とはいえ、ペンシルハウスには多くのメリットがあります。ここでは、3つのメリットを紹介します。
一等地の住宅を狭小地価格で購入できる
都心部や駅近では土地そのものが貴重なため、50坪クラスの区画を探すと一気に予算が跳ね上がります。
しかし、面積を20坪ほどに絞った“狭小地”であれば、同じ街並みに暮らしながらも支払総額を大幅に抑えられます。
たとえば、島根県の人気エリア松江市で50坪の土地が約825万円(16.5万円/坪)でも、20坪の狭小地なら約330万円で購入可能です。
エリア | 平均坪単価 | 50坪土地価格 | 20坪土地価格 |
---|---|---|---|
松江市 | 16.5万円/坪 | 825万円 | 330万円 |
出雲市 | 10.0万円/坪 | 500万円 | 200万円 |
浜田市 | 7.5万円/坪 | 375万円 | 150万円 |
家の目の前には駅まで徒歩圏のバス停やスーパーがあり、通勤時間や買い物の時間も短縮。
子どもも通学路が短くなるぶん、塾や習い事の選択肢も広がります。
税金が少なく済む
固定資産税は土地の面積と評価額に基づいて算出されるため、狭小地に建てることで税負担を大幅に抑えられます。
【固定資産税の計算式】
土地:課税標準額(「土地の課税標準額の算出方法」参照)× 税率1.4%
家屋:課税台帳に登録されている価格 × 税率1.4%
【土地+建物の固定資産税比較表】
区分 | 敷地面積 | 年間固定資産税(土地) | 年間固定資産税(建物平均) | 年間合計 | 30年合計 |
---|---|---|---|---|---|
一般的な戸建て | 35坪 | 7.35 万円 | 22.99 万円 | 30.34 万円 | 909.9 万円 |
ペンシルハウス | 20坪 | 4.20 万円 | 17.20 万円 | 21.40 万円 | 643.1 万円 |
差額 | ― | ▲3.15 万円 | ▲5.79 万円 | ▲8.94 万円 | ▲266.8 万円 |
※評価額15万円/坪の場合
※土地評価額や減免措置により変動
このように、30年間で計算すると約267万円の差があります。
また、建物評価は経年で下がるため、長期的にはさらに差が開く可能性があります。
さらに、付表6「間口狭小補正率表」の適用により、相続税・贈与税についても軽減可能です。
固定の支出となる税金や維持費の削減効果は、長期的な家計の安定化につながります。
狭小住宅を活かす空間設計を楽しめる
狭小住宅という制約があるからこそ、空間を立体的に活用する創造的な設計を楽しめます。
たとえば、吹き抜けで1階と2階をつなげると、高窓から差し込む光がリビング全体に行き渡り、実際の面積以上の広がりを感じられます。
また、天井の高さを生かしてロフトを設ければ、子どもの秘密基地や読書に没頭できる趣味スペースとして活躍するはずです。
さらに、スキップフロアを取り入れ、階段途中にデスクや収納を配置すると、これまでデッドスペースだった場所が仕事や片づけに便利なコーナーへと生まれ変わります。
限られた床面積でも、空間を立体的に使えば、家はぐっと表情豊かになります。
ペンシルハウスで後悔しないポイント

狭小地でも快適に暮らせる家はつくれます。
ここで紹介するポイントを押さえ、後悔ゼロの家づくりを目指しましょう。
家事動線に配慮した間取りにする
日々を快適に過ごすためには、家事動線の最適化は外せないポイントです。
洗濯機・洗面・浴室・バルコニーを同じ階にすると、洗濯物を抱えて階段を昇降する必要がなくなります。
また、リビング階段を設置し、キッチン、パントリー、ダイニングを一直線に配置すると、食材の取り出しから配膳、後片づけまでの動きがスムーズになり、食事の準備が時短できます。
さらに、掃除の際も5 mの延長コードを使えば、1〜3階をまとめて掃除でき、移動の手間を最小化できます。
動線を最適化することで家事効率が上がり、住まい全体の快適度も高まります。
デッドスペースを有効活用する
階段下・壁面・床下や天井裏収納・ロフト・ベッド下といった余白を徹底して収納化すれば、狭小住宅でも容量不足に悩みません。
クローゼットはハンガーパイプを上下2段にし、足元へ引き出しと可動棚を追加しましょう。
収納量がほぼ倍増し、バッグや帽子なども一か所にまとめて収納できます。
季節家電や子どもの作品まですっきり奥の収納に収まり、リビングには風が通り抜ける余白が生まれます。
採光・通風を両立させる窓を配置する

住まいを南向きに設計できれば、採光はほぼ確保できます。
とはいえ方角に制約がある場合では、高窓や階段上のトップライトで上方から光を呼び込むこともできます。
また、視線を避けられる縦長スリット窓やライトコート(小さな中庭)の設置も下階までの採光と通風を確保する方法として有効です。
このように、高さ・形・場所を戦略的に組み合わせて窓を設置すれば、狭小住宅にありがちな暗さや閉塞感を感じさせません。
日中は照明がいらず、風が抜ける心地よい住まいをつくり出せます。
将来のライフスタイル変化を見据えて設計する
ライフスタイル変化を見据えて家を設計しておくと、将来のリフォームに手間がかかりません。
たとえば、構造壁と非構造壁を分け、子ども部屋の仕切りを後で取り外せるようにすることで、独立後は書斎やセカンドリビングへ簡単に模様替えできます。
階段には手すりを備え、踊り場の一角にホームエレベーターを設置できるスペースを確保しておけば、足腰が弱ってからも大がかりな改修は不要です。
さらに、床下や壁内に点検口を設けて露出配管にしておけば、配管や配線の交換が壁を壊さずに済み、修繕費用を抑えられます。
このような可変間取りやバリアフリー下地を建築時に仕込んでおけば、老後も住み替えずに安心して暮らし続けられます。
狭小住宅の実績豊富な業者を選ぶ
狭小住宅の建築には、一般的な住宅とは異なる専門知識と技術が必要です。
狭小住宅専門の設計士は、斜線制限や容積率といった法規を織り込みながら限られた空間を最大限活用する間取りの提案ができます。
施工経験豊富な工務店は、私道に資材を搬入するベストな時間帯や振動・騒音を抑える特殊機材の使い方まで熟知しており、近隣への配慮と工期短縮を同時にかなえます。
結果として、延床面積以上の広がりを感じる間取りや、将来の模様替えまで見据えた可変プランが実現し、住み始めてからも「この家にして良かった」と思える満足度が高まるでしょう。
まとめ

この記事では、ペンシルハウスで「後悔しない家づくり」を実現するための対策を解説しました。
ペンシルハウスの後悔を防ぐ5つの対策をまとめます。
・家事動線を一本化する
・デッドスペースを収納に活用する
・高窓や天窓を組み合わせて、採光・通風を確保する
・仕切りを非構造壁にする
・狭小住宅専門の設計士・工務店と早い段階から連携する
動線・採光・収納を意識すれば、ペンシルハウスでも延床面積以上の広がりと快適さを得られます。
まずは狭小住宅の実績豊富な専門家に相談し、ご家族の暮らし方に合ったプランを確認してみてください。
TSK住まいるスクエアネットでは、信頼の地域実績と50年以上の放送実績を活かし、後悔のない家づくりを全力でサポートいたします。
山陰地方の気候・法規制に精通した実績豊富なハウスメーカーについては、以下のサイトで紹介しています。ぜひご覧ください。
Instagram「@tsk_smilesquarenet」でも住宅事例を紹介中!
脚注:
間口が狭い宅地の評価|国税庁
国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索
総務省|地方税制度|固定資産税
(不整形地の評価)|国税庁
奥行価格補正率表 |国税庁
建築基準法 | e-Gov 法令検索

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