鉄骨住宅と木造住宅はどちらがよい?山陰の気候で考える後悔しない選び方
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ハウマガ編集部

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山陰の家づくりでは、気候に合った構造選びが欠かせません。
特有の気候や土地に適した施工技術を理解しているメーカーであれば、「こんなはずではなかった…」と後悔するリスクを大きく減らせます。
山陰での家づくりを地域密着で発信しているのが、TSKさんいん中央テレビの住宅情報サイト「TSK住まいるスクエアネット」です。
この記事では、木造・鉄骨の構造の違いだけでなく、「山陰の気候課題(湿気・雪・日当たり・風)を解決するには、どちらがどう有利なのか」をわかりやすく解説します。
鉄骨住宅の主な特徴

鉄骨住宅とは、鋼材を使用して建てられる住宅のことです。
「Steel」の頭文字をとり「S造」と略して表現することもあります。
主な特徴は以下の3つです。
耐震性や耐久性に優れている
・工期が短い
・設計の自由度が高い
・耐震性や耐久性に優れている
木材に比べて耐震性や耐久性が高いため、長期的に安定した構造を維持することが可能です。
さらに、この構造はサビや腐食にも強い性質を持ち、適切なメンテナンスを行えば数十年にわたる耐用年数が期待できます。
工期が短い
鉄骨住宅では、工場で部材を製造し、現場で組み立てるプレハブ工法や、柱と梁を一体化させたラーメン構造が一般的です。
そのため、工期を短縮できるうえ、規格化された資材によって品質も安定します。
ただし、規格化された住宅は部屋の間取り変更やリフォームが難しくなるため、建築からリフォームまで一貫して対応できるメーカーに依頼すると安心です。
設計の自由度が高い
強靭な鉄の柱と梁で構造を支えるため、設計次第では木造に比べて柱の数を減らしたり細くしたりできます。
そのため、壁一面の大きな窓や、柱のない広々としたリビングといった、開放的な大きな間取りを作れるのが最大の魅力です。
ただし、山陰の家づくりでは、これらの「特徴」が、メリットにもデメリットにもなります。
鉄骨住宅の性能を最大限に活かせるかどうかは、施工するメーカーが山陰の気候をどれだけ理解し、的確に対策できるかにかかっています。
鉄骨住宅と木造住宅の7つの違い比較表

まずは全体像を把握するために、一般的な特徴を比較表にまとめました。
| 比較項目 | 木造住宅 | 鉄骨住宅 | 山陰での注意点 |
|---|---|---|---|
| 建築コスト | 坪単価は低め | 坪単価やや高め | 雪対策・断熱施工で追加費用が発生する場合あり |
| 断熱性・気密性 | 自然な調湿機能あり | 断熱・気密施工が不足すると結露リスク | 高断熱・二重窓施工が重要 |
| 耐震性 | 柱・梁構造で地震に強い | 剛性高く、揺れに強い | 昭和以前の古い鉄骨は要注意 |
| 設計自由度 | 細部設計や間取り変更の自由度が高い | 大空間設計の自由度が高い | 日当たりを確保するプラン構築が必要 |
| 防音性 | 普通(断熱材次第) | 低い(工法・壁材による) | 風の強い地域では外音対策を強化 |
| 工期 | 比較的長め | 短い | 冬季工事は雪対策・納期遅れの可能性あり |
| 法定耐用年数 | 22年 | 鉄骨の厚みにより異なり、3mm未満で19年、3〜4mmで27年、4mm超で34年。 | 防錆対策が必須 |
木造・鉄骨ともに一長一短がありますが、山陰のような寒暖差や降雪の大きい地域では、断熱性・防湿性・耐候性をどれだけ確保できるかが、住み心地を大きく左右します。
参考:主な減価償却資産の耐用年数表
山陰の気候課題別!鉄骨・木造のメリット・デメリット

山陰で暮らす上での具体的なお悩み別に、木造と鉄骨の向き不向きを深掘りしていきます。
湿気対策

山陰の家づくりで最も重要なテーマが「湿気対策」です。
鉄骨住宅
メリット
構造体である鉄骨自体は、湿気で腐ったりシロアリの被害を受けたりすることがありません。
デメリット
鉄は外気の影響を受けやすく、冬場に結露しやすいという弱点があります。これを防ぐには、家全体を包み込む高レベルの断熱・気密施工と、計画的な換気システムが必要です。
木造住宅
メリット
木材そのものが呼吸するように湿気を吸ったり吐いたりする「調湿効果」が期待でき、室内の湿度を快適に保ちやすい特徴があります。
デメリット
適切な防腐・防蟻処理や、壁内部の湿気を排出する「通気工法」が不可欠。換気計画が不十分だと、湿気による構造の劣化やカビのリスクが高まります。
雪・風対策

日本海から吹き付ける冬の厳しい風や、年によってはドカッと降る雪も悩みの種です。
鉄骨住宅
メリット
鉄骨の強靭な強度を活かし、柱の数を少なくしても頑丈な家を建てられます。豪雪地帯のビルトインガレージ(カーポート一体型)など、雪国ならではのニーズに応える大空間を作りやすいのが大きな強みです。
デメリット
構造が強固な分、地震の際には揺れが大きく感じられることがあります。
木造住宅
メリット
伝統的な技法で柱や梁、壁といった「面」で力を分散させるため、地震や風の揺れに対してしなやかに力を逃がす粘り強さがあります。
デメリット
積雪量の多い地域では、雪の重みに耐えられるよう、屋根を専用の形状にしたり、柱を太くしたり梁を増やしたりといった設計が必須です。
日当たり対策

「山陰は弁当忘れても傘忘れるな」と言われるほど、曇りや雨の日が多い地域。
限られた日差しをいかに室内に取り込むかが、暮らしの快適さを左右します。
鉄骨住宅
メリット
柱と梁で支える強固な構造のため、壁の制約が少なく、リビング一面を窓にするといった大胆な設計が可能です。日差しを最大限に取り込み、明るく開放的な空間が実現します。
デメリット
窓を大きくすればするほど、断熱性能が重要になります。高性能なサッシや複層ガラスを選ばないと、冬の寒さや夏の暑さの原因になります。
木造住宅
メリット
在来工法などでは設計の自由度が高く、吹き抜けや高窓など、光を取り込むためのデザインを柔軟に採り入れやすいです。
デメリット
大きな窓を多用すると、構造のバランスを取るために壁や柱の配置に工夫が必要になるケースがあります。
山陰の鉄骨住宅で後悔しがちなポイントと対策
頑丈で、開放的で大胆な設計をしやすい鉄骨住宅。
しかし、その特性を理解せずに建ててしまうと、山陰の気候と暮らしの中で後悔することも少なくありません。
ここでは、山陰で鉄骨住宅を選んで感じた特有の後悔ポイントと対策をご紹介します。
光熱費が高い
鉄骨は熱伝導率が高く(ヒートブリッジ現象)、断熱工事が不十分だと外気温の影響を受けやすくなります。
山陰は冬の冷え込みが厳しく、夏は湿度が高い気候のため、冷暖房効率が悪いと光熱費がかさみがちです。
快適に過ごすには、断熱・気密施工をしっかり行うことが欠かせません。
カビやサビが発生しやすい
鉄骨の柱や梁は結露が生じやすく、結露した水分が鉄骨の隙間や壁内に溜まると、錆やカビが発生して構造劣化の原因を引き起こします。
鉄骨には木造のような自然な調湿機能はありません。
山陰特有の高湿度・雪解けの湿気にも十分な対策が必要です。
外の風音や生活音が気になる

山陰では強風の日が多く、鉄骨住宅は気密性や壁厚・窓ガラス強度が不足している場合、外部の風切り音や生活音が響くことがあります。
鉄骨構造は防音性能が低めなので、騒音ストレスや近隣トラブルの原因になりやすいです。
壁・天井・床に吸音材の追加や遮音性のある窓・サッシを選ぶ必要があります。
設計段階で遮音性を意識した間取りにすることも重要です。
建築コストが高い
鉄骨住宅はもともと建築コストが高めですが、山陰地方の湿気・寒さ対策(断熱施工や防錆工事、結露・カビ対策など)を十分に施さないと後から追加費用が発生しやすくなります。
山陰の積雪・湿気・防錆・地盤・断熱施工に精通した業者選びが、過剰仕様や施工漏れを減らし、後の追加費用発生リスクを大幅に下げます。
メンテナンス費用が高くつく
鉄骨部分や屋根の防錆塗装は10年程度で劣化することが多く、建物規模や立地条件にもよるものの、10年ごとに数十万円〜100万円超の改装費用がかかるケースもあります。
山陰では結露・湿気・積雪の影響で点検・防錆が必須です。
新築時に耐久性の高い材料を選び、外壁や鉄骨構造の点検も5年ごとに数十万円の費用を見込んでおくと安心でしょう。
山陰の木造住宅で後悔しがちなポイント

一方で、木造住宅にも特有の後悔ポイントは存在します。
鉄骨住宅と比較する上で、木造住宅のデメリットも知っておきましょう。
職人の腕や施工会社によって品質に差が出やすい
木造(特に在来工法)は、現場での手作業が多くを占めます。
そのため、施工する職人の技術力によって、仕上がりに差が出ることがあります。
断熱や気密の性能を安定させるには、設計段階での管理体制や施工精度が重要です。
シロアリや湿気による腐食のリスクがある
木材は自然素材であるため、湿気対策や防蟻処理が不十分だと、シロアリの被害や構造体の腐食に繋がるリスクが常にあります。
山陰の多湿な環境では、床下換気や壁内通気の設計が性能維持のポイントです。
湿気が滞留しない構造づくりが、木造住宅の耐久性を左右します。
鉄骨住宅と木造住宅、どちらを選ぶべき?

ここまでで、山陰の気候課題と、それぞれ必要な構造の特徴を見てきました。
では、実際にどちらを選べばいいのでしょうか?
ここでは鉄骨・木造のタイプ別にまとめました。
鉄骨住宅がおすすめのタイプ
・強度と耐久性を最優先し、将来的な大規模リフォームは考えていない人
・大きな開口部や吹き抜けなど、開放的な空間デザインが好きな人
・外観のメンテナンス頻度をできるだけ抑えたい方(ただし初期施工の仕様は必須)
鉄骨住宅は高い剛性と耐久性が魅力で、大空間・大窓の設計が可能なため、開放的な住まいが好きな人に適しています。
山陰の厳しい気候条件にも耐えうる強度があり、防火性能も高いのが特徴です。
初期コストは高めですが、メンテナンス・防錆施工を徹底すれば長期的に安心して暮らせます。
木造住宅がおすすめのタイプ
・温かみや自然素材の風合いを重視したい人
・できるだけ建築コストを抑えたい、予算重視の人
・家の設計自由度や細かい間取り変更にこだわりたい人
木造住宅は、木の持つ調湿性や暖かみのある家づくりが特徴です。
設計自由度も高く、暮らしに合わせて間取りを柔軟に設計しやすいため、生活スタイルに細かく対応したい人に向いています。
比較的建築コストを抑えたい方にもおすすめです。
まとめ

鉄骨住宅と木造住宅、それぞれの特徴と後悔しない選び方をご紹介しました。
家づくりは構造の選択だけでなく、「どんな地域で、どんな暮らしをしたいか」から考えることが大切です。
山陰地方で住宅構造を選ぶ際の重要な点は以下の通りです。
・山陰の厳しい気候(湿気・結露・積雪・強風)に対応するため、断熱性能と気密性能の強化が最優先。
・メンテナンスやリフォームの難易度・費用増加を避けるために、地域の特性を熟知した施工業者選びや、建築段階での仕様最適化(防錆・断熱・基礎補強など)を徹底する。
・最終的に山陰の気候・風土を熟知したハウスメーカーを選ぶことが、快適で後悔しない家づくりの最大のポイント。
TSK住まいるスクエアネットでは、山陰の厳しい気候を知り尽くした、信頼できるハウスメーカーをご紹介しています。
地元の気候に合った家づくりで、安心して長く暮らせる住まいを見つけてみてください。
Today’s Person
山陰の家づくりを全力応援する住まいるマガジンのスタッフ記事です!
次回もお楽しみに!
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