暮らしのプロと住まいるトーク♪ vol.1 インテリアコーディネート(後編) 「住まい」は暮らしの舞台。インテリアコーディネートも手掛ける洋服屋さんのご夫婦が語る、家とのちょうどいい関係


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「暮らしのプロと!住まいるトーク」Vol.1 後編記事です。
今回も、島根県松江市にあるセレクトショップ「TRIBECA(トライベカ)」の敏男さんと香菜子さんご夫婦にご登場いただき、流行りに囚われないライフスタイルアイテムやインテリアコーディネートを中心に、住まいや暮らしのお話を伺っていきます。

その他、住宅・店舗・オフィスなどの空間や部屋全体のコーディネイトなどもお任せください。
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心地よい暮らしのための”おしゃれ”と”実用性”のバランス


わかります。”おしゃれ”と”実用性”のどちらを重視するか、ということになりますよね。

生活感が出るものはなるべく隠したいですね。ただ、最近の住宅事例を見たりすると、おしゃれを優先してタオルをかけるところがなかったり住む想像をすると収納が全く足りなさそう、と思うことがあります。

たしかに。平屋やマンションは特に収納力が少なくなりがちですよね。

インテリアはおうち選びも重要なポイントですね。収納は家の問題ですが、掃除しやすさという観点だと機能性を工夫した家具もあります。最近だと、ロボット掃除機の普及に伴って、ロボット掃除機が通る高さのソファを選ぶ方も増えています。こうしたアイテムは、”おしゃれ”と”実用性”を両立していると言えるかな。植物とかを置きたいなら、そこは諦めるしかないですね笑。

ずぼらさんでもこれは勧められるという「アイテムや工夫」ってありますか?

うーん、、、あっ僕の後ろの棚だと、見せたいものは飾って見せたくないものはコンテナBOXに入れています。収納ケースはたくさんあるけど、雰囲気がある収納グッズを使うのはオススメです。子どもの学校の書類とかもすぐ隠せるので便利ですよ。



(おしゃれだ…!)

他には、流行り廃りがなく長く納得して使ってもらえるアイテムをオススメすることも多いです。例えば、我が家だと子どもがいることもあって、傷がつきづらく水に強い機能性のあるレザーテック素材のソファや子どもが汚しても気にならない古材のダイニングテーブルを使っています。


こういった特徴的なアイテムがあるのに、統一感があるのが不思議です。

統一感を持たせる工夫として、カップボードや建具の扉などのデザインのテイストを合わせているんですよ。



この照明も素敵ですね。スイッチも可愛い!



この照明とスイッチも、インダストリアル且つクラシカルな雰囲気で統一感を出しました。

素敵です!あってもなくてもいいもののおしゃれを頑張るのではなく、必要なものに一工夫されていらっしゃるのですね。ちなみに、失敗したアイテムもあったりしますか?

自然なものが好きなので失敗とまで言わないかもですが、無垢の床が傷つきやすかったり、ウッドデッキや天然芝のメンテナンスが思ったよりも大変でした。

庭師も呼ばずに自分でやるしね。

えぇ~!? それはすごい!
家づくり経験からのインテリアに関するアドバイス


これから家づくりを始める方に向けて、インテリア選びのアドバイスはありますか?

やっぱり大切なのは方向性だと思うんです。「自分で選びたい人は選んでよくって、自分で選ばなくてもいいからおしゃれに暮らしたいという方は専門家に相談してみては?」というのがアドバイスです。

自己流もいいんですけど、毎日過ごす家なので目が慣れてしまって「こんなはずじゃなかった…」と感じる方も多くいらっしゃいます。そんなとき、第三者の目があると、新たな発見につながることがあるんです。

家を建てるときも、膨大なサンプルの壁紙を見て自分で選ぶのって大変じゃないですか?

あぁ~…、分厚いカタログを見て吟味して辛かった記憶が蘇ってきました笑。

ですよね笑?僕らも同じ経験があったので、お客様にインテリアを提案するときは2~3通りぐらいに案を絞ります。インテリアの失敗の判断って前提次第で、一般的におしゃれじゃない組み合わせだったとしても、本人が満足していたら失敗ではありません。でも、インテリアの方向性や統一感を揃えることが自分一人だと難しいとき、プロの力を借りることでその負担が少なくなります。

ご主人と奥様の好みが真逆なときもあったりしますか?

あります。そのときは成功例をリサーチしてお客様に折衷案を提案しますよ。

ちなみに、お二人の場合はどのように折衷案を出したのですか?

ズバリ、”好きポイント”を譲り合う!僕は武骨で雰囲気を持ったインダストリアルなインテリアが好きで、

私はシンプルでかっこいい感じが好きです。あとお花も好きですが、ブリブリの可愛いお花は苦手。ドライフラワーは好きで自分で作ったりもします。


インダストリアルには元々ない陶器を取り入れたり、植物が増えてきたので吊るすためのアイアンバーを作ったりと、二人にとって居心地のいい家に育てています。


見事に調和していると思います。注文住宅ならではの自由度の高さを活用されていらっしゃいますね。
TRIBECA(トライベカ)さんにとって「暮らし」とは

お二人にとって“暮らし”ってどんなものだと考えていますか?

そうですね……「居心地のよさ」かな。誰かに見せるための空間じゃなくて、OFFの自分が自然に微笑んでしまうような。そんな空間をつくるお手伝いができることが、僕たちの一番のよろこびです。

素敵な空間があると、「早く家に帰りたいな」って思えたりしますよね。無理にかっこつける必要はなくて、自分が好きなものに囲まれていることが、心から落ち着ける“暮らし”なんだと思います。

私も家づくりの時、つい見た目を優先しがちだったんですが、やっぱり“自分たちらしさ”って大事ですよね。トレンドもあるけど、それに振り回されすぎないというか。

そうそう。もちろん情報としてトレンドはチェックしますが、それをそのまま提案することは少ないです。家って建てたら終わりじゃなくて、その人の人生に寄り添い続けるものだから。家族構成もライフスタイルも変わっていくし、一緒に成長していける住まいが理想だなと思ってます。

なるほど、まさに“暮らしとともに生きる家”ですね。だからこそ、リピートで相談される方も多いんですね?

ありがたいことに、そうなんです。最初は服からスタートして、その人の好みを知って、次は空間のコーディネートへ。自分たちのディスプレイを見て「素敵!」って言ってもらえた瞬間は、本当にうれしくて…。10年も前から気にしてくれていたお客さまもいらっしゃって、鳥肌ものでした。

僕たちはアパレル出身だから、「暮らし」っていうのも広い意味でファッションの延長線上にあると思っていて。だから、これからも人の心が動くような空間を提案していきたいですね。

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さて、前編後編と続きいかがでしたでしょうか。
「おしゃれと実用性、どちらも大切にしたい」そんな想いに寄り添いながら、“暮らし”を育てる楽しさを教えてくれるTRIBECAさんのインテリア哲学。
飾ることだけが「おしゃれ」ではなく、必要なものにちょっとした工夫を加えることで、自分たちらしい心地よさが生まれる。
見た目だけでなく、「帰りたくなる家」をつくること。それが本当の意味での“暮らしをデザインする”ということなのかもしれませんね!
Profile

ちょっと悩み相談させてください。”おしゃれな空間”にしようと飾り棚とか置きたくなる余白があっても、「拭き掃除するのか」と掃除や収納のことを考えて踏ん切りがつかなくて…。